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三菱

車種毎の設定を感じたKYB NewSRスペシャル(三菱アウトランダー CW6W)

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三菱アウトランダーの足回りのご相談がありました。


平成20年式 DBA-CW6W 6B31 走行距離 47,000km


まだ走行距離5万キロに到達していない車の乗り心地に関するご相談です。純正ノーマルの設定に違和感をお感じになられているのかもしれないと、お預かりしてすぐ現在の状態を確認するため試走します。

走り出し後、程なくしてご依頼の理由がわかりました。走行中の特定の状況で「ふらっ」と車体が不安定になるときがあるのです。

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この収まりの良くない不快感は、ショックアブソーバやコイルスプリングといったサスペンションの主要部品の動きではなく、例えばタイヤの剛性不足と似た感覚でした。

お客様は、改善を期待してKYBのNewSRスペシャルへの換装をご希望でしたので、僕の率直な感想をお伝えした上で、ショック交換作業に取り掛かりました。


フロントは一般的なマクファーソンストラットです。

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一部車種に採用されているダブルウィッシュボーン形式と大きく異なるのは、ショックアブソーバそのものが車体の横方向にかかる力を受け止めていることです。

こちらの写真に補助線を引きました。

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ショックアブソーバの軸と、コイルスプリングの軸がある角度をもってオフセットされています。この角度のおかげで、ストラットにかかる横方向の力を受け止めつつ、ショックロッドに過度な負担を掛けずに円滑にストロークさせることができます。それは乗り心地の向上や、ショックの寿命に関係するでしょう。

ノーマル形状やノーマル車高はサスペンションが適切に動作するように設定されていますので、よほどの理由や意図がないかぎり変更しないのが無難です。

回転方向に自由に動くコイルスプリングアッパーシートには取付位置が決められていますから、不適切な装着状態にあるものは、分解組立の時に正確な位置に補正します。


今回、傾向的に不思議に感じたのは、リア側のショックアブソーバでした。

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装着前に手の力でショックロッドをなじませるのですが、予想に反して純正よりKYB NewSRスペシャルの方が柔らかいのです。感覚的には3割ほど柔らかい印象です。双方左右差がありませんから、極端な劣化や初期不良ではないと思います。

そして、1台分のショックアブソーバ装着を終えて試運転を繰り返し、1Gでサスペンション各支点を締め直しますと、気になっていたふらつきが完全に解消されました。

硬めにチューニングした純正ショックアブソーバが、アッパーマウント(ラバー製)を余分に動かしていたように思います。

「一車種ごと実車による開発」と書かれたKYBのWebサイト。一律同方向のチューニングではなく、場合(開発者の感性?)によっては逆方向もあるということでしょうか。

大変興味深い作業のご依頼、誠にありがとうございました。



『編集後記』

様々な店舗で独自に運営されてきたポイント制は、近年「共通ポイント」時代に突入し、とても便利に使いやすくなりました。

ライフスタイルに合ったポイントを、あなたは上手に活用されていることと思います。

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ホンダ

ホンダ アクティ(HH6)ハブベアリング交換

「ブレーキを踏むと前輪付近から異音がするので見てみたが、ブレーキパッドが減っているようには見えない。詳しく点検してほしい。」

とのことでお預かりしたホンダ アクティ四駆です。


平成15年式 UA-HH6 E07Z 3AT 走行距離 100,000km


名車スバル サンバー無き今、ホンダのバモス・アクティがとても魅力的に感じます。特にこちらの四駆仕様は、リアミッドにエンジンを縦に搭載したバランスのよいレイアウトが特徴です。

試運転しますと、ブレーキを踏むまでもなく、フロント車軸からゴロゴロと異音を発し、ハブベアリングの損傷であることは明らかでした。

タイヤを取り外すと現れるディスクブレーキ装置の中心奥に目的のハブベアリングが強力に圧入されています。

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まずはスライドハンマーでハブフランジを抜き取ります。

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こちらのアウターベアリングボールには目立つ損傷や汚れはありませんでした。異音発生は内側のようです。ナックルアームに強力に圧入されているベアリング本体は油圧プレスの台にセットしますので、まずはロワーアームとセットで取り外しました。

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専用のスタンドで水平にセットし、今回はメーター読みで10トン以上の力を掛けてようやく固着が解けました。

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不調のあったインナーベアリング付近は焦げ臭い匂いと変色が見られます。ゴロゴロ音は以前から発生したと思いますが、ブロックパターンの大きなオールウェザータイヤのノイズとお感じになられていたようです。

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旧ベアリングを当て子にして新品ベアリングを圧入します。

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ハブに残ったままになっている外側ベアリングのインナーレースは、一部をグラインダーやベルトサンダーで、できるだけ薄く削り、タガネを軽く当てるのが最も確実に取る方法だと思います。専用工具があるのは承知していますが、サンダーのベルト切削力をもってすれば、造作ないことなのです。

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↓3Mのセラミックベルトは、ベアリングレースなどの硬い材料もあっという間に削ります






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アルファロメオ

アルファ156 V6 2.5L 〜真の足回りを求めて(最終回)〜

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ドイツから届いたEU本国仕様のコイルスプリングは、左右の自由長が全く違っていました。Webに掲載されていたショックアブソーバに組み付けられた状態の写真で、この判別は困難でした。

短いほうの上端には明らかに切断された痕跡があり、何らかの理由で分解されたサスペンションを組み立てるとき、スプリングコンプレッサで縮め切ることができなくて切断して組み付けたのではないかと思います。

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下の写真のように、156の本国仕様スプリングは、ほとんど線間密着するほど縮めないと組み付けることができないからです。

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とにかく状況をお客様にお伝えしたのち、1か月前にキャンセルしたメーカー出荷最後の1本の新品コイルスプリングを求めてE-mailのタイピングを急ぎました。


そして一週間後、

メーカー返品されずに、仕入れ先に運よく在庫されていた新品スプリングがDHLで手元に届き、ようやく本国仕様のコイルスプリングが1台分揃ったのです。

DSC_4692.JPG
(左:新品、右:リサイクル品)

褪色した添付ラベルには間違いない品番の印字が確認できます。


その後、海を隔てたお客さまのお手元にお届した本国仕様のコイルスプリングは早速組み付けされたようで、ご丁寧に写真をお送りくださいました。

EU仕様左側面(2).jpg

車高は以前と比較して上がっていますが、腰高感は全くありません。全体の姿態を眺めると、スポーツパックに標準で取り付けられているサイドステップはむしろ不要かもしれません。

フェンダーアーチとタイヤの間隔も均一でとてもきれいです。

左前タイヤ.JPG

左後タイヤ.JPG

この数センチの車高の上昇で、サスペンションアームの角度が全体的に自然になります。

短いコイルスプリングだけで誂えたローダウンの156は、四輪のキャンバーがネガティブに振られたまま調整ができません。ネガティブキャンバーのついた操舵輪は、敏感すぎるハンドルの切り始めから切り込んでいく過程で接地感に急激な変化があります。

コイルスプリングのみの変更で車高を下げるとロールセンターが悪い方向に変化しますから、ロール量は増大し、カーブを曲がる途中で恐怖を感じる領域があります。ローダウンスプリングが硬いのはロール量増大の抑制と、底付き回避の目的があるのです。強化スプリングという呼称はそういう意味です。



『中庸』という言葉があります。



よいサスペンションを一言でいうとまさに中庸。どんな場面でも極端すぎず中立的です。路面との接地やハンドリングに違和感がなく、いたって普通にドライビングができるのです。

お客様からも、同様の感想を頂戴しました。

アルファ156が日本にやってきたとき、異国のスポーツセダンに中庸は要らなかったのかもしれません。出来の良いサスペンションを「凡庸」と誤解されることをインポーターが恐れていたようにも感じます。

それが証拠に、車高を下げた低いフォルムと、どこか尖ったステア特性は多くの期待を裏切らず、いままでにないセールスを記録したのですから。


本国仕様のコイルスプリングは入手が大変難しくなってきました。今回の調達もお客様には大変ご心配とご迷惑をおかけしました。しかし、一人でも多くの方に本来のアルファ156のことを知っていただけて、僕はとても嬉しく思います。そして、紆余曲折あった海外調達で、たくさん勉強をさせていただきましたことに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。




『編集後記』

出町の豆餅、お一ついかがどす?

「出町ふたば名代豆餅」

連日長蛇の列の和菓子のお店です。京都高島屋、JR京都伊勢丹の地下食品売り場でもお買い求めいただけます。ほんのり塩味の赤エンドウ豆がたっぷり入った看板商品「豆餅」は絶品です。

↓下の冊子に紹介されています。






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アルファロメオ

アルファ156 V6 2.5L 〜真の足回りを求めて(その3)〜

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"Dear customer,

We are sorry, it is not possible to ship this items to japan.

with kind regards."




「送料がとても高額になるけど構わないでしょうか?」というドイツのリサイクルパーツ業者からの便りに、「大丈夫ですので発送の手続きをお願いします。」と返事して程なく、冒頭の詫び文が届いたのです。

やっと見つけた本国仕様のコイルスプリングです。何とか入手できないかと調査を続けました。



『転送サービス』



そういえば、以前に聞いたことがありました。海外で販売されている品物を国際発送代行するサービスです。ドイツの業者は、理由は不明ですがドイツ国内の発送はできなくて、ドイツ以外の欧州諸国に発送しますとのこと。

英語が通じる場所が安心ですので、イギリスに所在のある転送サービス業者に連絡を取り、ドイツにある品物の詳細を伝えたところ快諾いただいたので、早速手配。

少し遠回りになりましたが、9月22日(木)、ドイツからイギリス経由で日本へと品物が発送されました。最初にお客様からお問い合わせいただいたのが7月21日(木)でしたから、ここまでで約2か月経過しています。


そして10月4日(火)、待望のリサイクルパーツが届きました。バーコード管理された部品で、確かにWebで掲載されていたそのものでホッと胸を撫で下ろしました。

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ところが、またしても問題が…


ショックアブソーバやアーム類が組まれた状態から分解して所望のコイルスプリングを取り外し、プリロードが解かれて自由長まで伸びた2本のスプリングは長さが異なっていたのです。

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識別ペイントは「グレー」「イエロー」の2色が両コイルスプリングともはっきりと認識でき、間違いなく156 V6 2.5L 本国仕様なのに、です。


《続く》




「編集後記」

サスペンションといえば、通勤で使用している自転車のリアショックからオイル漏れが酷くなってきました。

アブソーバと空気バネが一体になった部品です。アブソーバ部分は分解不可のようですが、エアスリーブと称します空気バネ部に補修パーツが出ているようですのでオーバーホールしました。

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[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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そして、ショック標準のDUと称します無給油式の軸受ブッシュは、ガタが出るほど摩耗が進みましたので、サイズの合うニードルローラーベアリングを代替圧入し、耐久性と円滑性を向上させました。動きが滑らかになった分、エア圧を少し高めに調整するのが良さそうです。

パーツ入手にご協力いただきましたご近所の自転車店の店主様に、この場をお借りして御礼申し上げます。






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アルファロメオ

アルファ156 V6 2.5L 〜真の足回りを求めて(その2)〜



"Do you want just x1 spring or should I refund you the pair and ship the rest of your order?

The GENUINE spring is no longer supplied by Alfa, there is only x1 available."


片方のコイルスプリングだけ入荷して、取引先の担当の方も大変お困りでしょうに、返金に応じてくださり、今回のオーダーは一旦キャンセルしました。

お客様に状況をお伝えしましたところ、新品でなくてもリサイクルパーツが入手できないかとのご相談がありました。



しかし、正規輸入されたアルファ156のV6 2.5Lは、そのすべてがスポーツパックといわれるローダウン仕様。国内のリサイクルパーツを検索してもまず所望の品は見つからないでしょう。

かといって海外のリサイクルパーツ市場に目を向けても、アルファ156のほとんどが1.8Lや2.0Lのツインスパーク直4エンジン搭載車で、本国仕様といっても品番の異なるコイルスプリングしかヒットしません。


V6エンジンはツインスパークと比較して重く、位置もフロントオーバーハングに前バンクがのしかかるように搭載されていますから特別なスプリングレートの設定があるようです。


ご相談のあったお客様のスポーツパック仕様の写真を改めて見ると、全体に車高が低いだけでなく、ずいぶん前傾しています。

横.jpg

ツインスパーク搭載のローダウン仕様はV6搭載車より前傾が強くなく、フロントオーバーハングには大きく空間があるため回頭性もそう悪くありません。サスペンションが理想的に作動する車高でなくても不満の出るレベルではなく、低い外観を好む方にはちょうどよいのかもしれません。

ツインスパーク スポーツパック外観例



さて、欧州で排気量の大きい自動車が好まれる国といえばドイツでしょう。検索ワードをドイツ語にして調査します。

日本には輸入されていない2.4L JTD 直列5気筒のターボ加給ディーゼルエンジン搭載モデルがたくさんヒットしました。しかしコイルスプリングはV6 2.5L MTと品番が異なります。

さらに足回りの部品を大枠で検索し、ヒットした何千件もの情報を一つ一つ閲覧することにしました。


すると、英語表記のページで、英語では不思議と掛からなかったドイツのリサイクル部品業者の情報がヒットしたのです。


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希少なV6 2.5L MT車用です。コーションプレートの写真や部品取り外し前の車両の写真も掲載されていて、期待が一気に高まります。


"May not post to Japan"


気がかりな表記は、出品者に連絡を取ると日本への発送にも応じてくださり、早速手続きを進めることにしました。

《続く》



「編集後記」

 ”京都祇園 そば処 おかる”へおいでやす。

芸舞妓さんが訪れるという、おいしいカレーうどんで有名な「おかる」さん。
けど、そば処というお店の看板通り、カレーそばがとてもおいしいのです。

温かいものがとても美味しい季節になりました。

↓こちらの情報誌にも掲載されています。






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アルファロメオ

アルファ156 V6 2.5L 〜真の足回りを求めて(その1)〜

横.jpg


"Sorry for such a delay.

After waiting all this time for the front springs Alfa have only supplied one and told me that the part is no longer available."


注文から約1ヶ月を経過したある日、取引先から便りが届きました。

国内入手が困難なアルファ156 V6 2.5用 EU仕様のフロントコイルスプリング。在庫は無いものの注文が可能ということで注文したものです。

左右の区別はありませんが2つセットの部品。1つだけ取引先に入荷し、もう1つは供給終了で1台分を手に入れることができないというのです。取引先の担当者も、お客様から注文を受けた僕も、事態に困惑しました。



日本国内に輸入されたアルファ156 V6 2.5L は、そのすべてがスポーツパックと称する、純正ローダウンスプリングが組み込まれた仕様。

EUスタンダードの156とはずいぶん車高も乗り心地も違います。



僕が以前に本国仕様のスプリングを組んだ事例をご覧になられ、大変遠方のお客様からお問い合わせいただいたのが今回の仕事の始まりでした。


アルファ156 V6 2.5 本国仕様サスペンション (+ KYB Excel-G)

クルマのスポーツとは?(アルファ156 V6 2.5 本国純正仕様)




海を大きく隔てた場所にお住まいのお客様は、すでにお近くの整備工場でショックアブソーバを交換するなど足回りのリフレッシュをされていましたが、スプリングだけが心残りだったとおっしゃいます。

写真は、足回りリフレッシュされた後の156の側面ですが、車高は日本で走っている156の低い姿勢で、僕が作業した赤の156とは印象が違います。



直接交換作業に関わることは難しそうですが、部品の手配だけでもお手伝いできると思い仕事を進めましたが、厚い壁に行く手を阻まれてしまったのです。

《続く》





「編集後記」

ここ1ヶ月で急に秋が深まり、温かい飲み物がおいしい季節になりました。
とても香り高いレギュラーコーヒーをご提供くださる近所のコーヒー店は、残念ながら今年いっぱいで閉店されるとのこと。

↓少し自宅から離れますが、下の焙煎元の工場兼店舗をご紹介いただきひと安心です。






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スズキ

スズキ エスクード クラッチ修理(TD54W)

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京都から約300km離れた遠方で、自走不能に陥ったスズキ エスクード。

日曜日の早朝に一報を受け、状況を伺いますと、クラッチペダルが奥に行ったまま戻らないとのことで、クラッチ油圧系トラブルのようです。

幸運にも安全なところに退避できたとのことで、ほっと胸を撫で下ろしました。


平成19年式 CBA-TD54W J20A 5MT 走行距離 195,000km


多額の回送費用のことを考えて、最寄りの工場での修理をお勧めしましたが、「改造車」を理由に入店拒否。お客さまの使用便宜上行った改変は、もちろん保安基準適合を確認したものですが、残念ながら他店では認知されなかったようです。

遠路はるばる、積載車に載せられて僕のところにやってきたエスクードは、2.5インチリフトアップ、ウインチ、シュノーケルを装備した猛々しい外観とは対照的に、オーナー様の落胆の様子を纏っているように見えました。


早速作業に取り掛かります。

TD54Wのクラッチシステムは、輸入車によく見かける方式です。レリーズベアリングとスレーブシリンダが一体構造になっていて、他方式に備わるレリーズレバーがありません。

レリーズベアリングと同軸上にある油圧スレーブシリンダから、クラッチフルードが大量に漏えいしたのが今回の故障の原因です。確認・交換のためにはトランスファ一体型の大きな変速機を離脱しなければいけません。

全長が約150センチほどある変速機は、横にするとその長さが判ります。とても一人の力で支えられる重量ではありませんので、補助具の力を借ります。

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レリーズベアリング一体型シリンダは、ベアリング部が焼き付き、バラバラになっていて大量のフルードが漏れていました。

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クラッチディスクの摩耗もスリットが消えるくらいまで進んでいましたが、綺麗な摩耗でクラッチ操作の丁寧さがうかがえます。

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新しいクラッチはスズキ純正のValeo製でした。

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そして、シリンダにはGMの浮き文字があります。

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シフトレバー部の出っ張りがトランスミッションの脱着の妨げになりますので、エンジンハンガーを設置して、できるだけエンジン前方を持ち上げる工夫をします。長大な変速機をエンジンと合体させるとき、慎重な位置合わせと安全確認が要求される緊張の瞬間です。

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しかし、変速機脱着より難作業は、クラッチフルードの充填でした。

こちらの写真をご覧ください。車両前方から見た油圧経路全景です。

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リザーブタンクからマスターシリンダ、センタートンネルをまたぐ長い配管を経てスレーブシリンダへ通じます。左ハンドルが主体の配管経路のように見えます。

問題と思うのはブリーダプラグ(エア抜きプラグ)の位置です。マスターシリンダとスレーブシリンダの中間に位置しているのです。

いつものようにバキュームで引いてもリザーブタンクからのフルードが無駄に消費されるだけで一向にスレーブシリンダに注入されません。変速機搭載前に、シリンダに幾分かフルードを満たしておくべきでしたが、今となっては後の祭り。

ヒントを得ようとサービスマニュアルに目を凝らしますが、「確実にエア抜き作業を行うこと」との空しい記述があるのみでした。


様々な手法を駆使して長時間かけてフルード充填を終えたエスクードは、今まで感じたことのないスムーズなクラッチフィーリングを得ました。4万キロ走行の中古車として乗り始められたお車でしたが、最初からフルード充填が十分にできていなかった可能性があります。

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取り外したレリーズシリンダの上部には、エア抜きプラグがあればとても都合の良さそうなところに栓がしてありました。



《編集後記》

このような重整備を行う場合、心も体も相応な柔軟性が要求されます。

日常、徒歩や自転車などで運動をしているつもりでも、ほとんどできていないのが股関節の運動です。最近取り組んでいる股関節柔軟法は、手軽で時間もかからず効果てきめん。

最初は半信半疑でしたが、約1ヶ月のプログラムで明らかに柔軟性が上がり、腰回りの無駄なものがすっり取れたのです。






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スズキ

クルマのキャラクターとショックアブソーバ 2(スズキ ラパン)

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3回目の車検を迎えたスズキ ラパンは走行距離が6万キロを少し超えたところです。


平成21年式 CBA-HE22S K6Aターボ CVT 走行距離 61,000km

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概ね5万キロ走行で、機能が損なわれるといわれるショックアブソーバですが、その距離で交換されることは稀で、油漏れや著しい乗り心地の悪化でもない限り継続使用されている場合がほとんどと思います。

今回、お客様のご要望で車検を機会に、交換時期といわれるアブソーバの状態を確認するとともに、少し減衰力の高いKYB NewSR スペシャルを組み込むことにしました。

先々月、新調いただいた REGNO Leggera との相性も楽しみです。

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ラパンに標準装備されていたのは黒いシェルケースのKYB製。

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交換するブルーのSRスペシャルは、標準装備品より太いケースが多いのですが、今回は太さも長さも同じようです。ターボモデルですから、もともとしっかりしたものが装着されていたのかもしれません。

僕は可能な限り、新旧のショックアブソーバ単体の感触をお客様に感じていただいています。新品のロッドの硬さや反発力。手応えを感じることで、より乗り心地の変化を実感いただけると思うからです。

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フロントもリアも外観に異常は見られませんでしたが、リア側のショックアブソーバはガス抜けがひどく、一度手で縮めると戻ってくるまで相当な時間がかかります。停止しているように見えるほどです。後席にご家族がお乗りとのことでしたので、不安定な挙動だったに違いありません。

もちろん同時作業でアッパーマウントも交換します。

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後部からわずかに見えるブルーのケースが安定の証。

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コンパクトな軽自動車は若干固めの足回りがよく似合うと僕は思います。狭い京都の路地をキビキビと駆けることでしょう。そしてたまには高速道を走ってみてください。今までに体感したことのない安定が得られるはずです。

その後のご感想を楽しみにお待ちしております。この度は作業のご依頼誠にありがとうございました。








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ランチア

クルマのキャラクターとショックアブソーバ(LANCIA Ypsilon)

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数年にわたって乗り心地の相談を受けていますランチア イプシロンは、最初ご来店いただいたときはフロント、リア共 KYB Excel-G でした。

その後、リアをモンローのリフレックスにしたところ、車体との取り付け部のラバーブッシュの大きさがずいぶん違っていて、アブソーバそのものよりブッシュの特性が生き、「当たり」がマイルドな足回りに改善されました。

ランチア イプシロン 乗り心地改善 (LANCIA Ypsilon)

ところが、その後のお客様とのお話の中で、

「中古車として購入した時に付いていた使い込んだ純正ショックアブソーバが、今から思い出すと結構乗り心地が良かった。
フロントをKYB Excel-G、リアをモンローリフレックスの組み合わせも悪くないけれど、やはり微小凹凸通過時の突き上げ感は残っているし、未知のオリジナルの乗り心地を求める気持ちが消えない。」

とおっしゃいます。

僕は、アルファロメオ156の足回りについて調査していたころ、非常に多くの細かな分類をされたショックアブソーバとコイルスプリングがあったことを思い出し、ランチアにおいても設計時には、自動車のキャラクターを意識した特別なアブソーバが装着されている可能性があるのではないかと考えるようになりました。

ところが、純正のショックアブソーバは大変高価です。アフターマーケットパーツの何倍もする純正ショックを購入するのはとても勇気が要ります。

空き時間にWebサーチしていたところ、本国イタリアでデッドストックが販売されているのを見つけました。

冒頭の写真がそれで、お客様はイタリアから転送サービスを駆使して無事入手されました。当時のランチアの印刷が褪色していますが、内部の部品に問題はなさそうです。

KYB Excel-G よりピストンロッドが細めの純正ショックは、手応えを確かめると縮み側減衰力の弱いものでした(上:純正、下:KYB)。

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組みつけて試運転しますと、挙動が実にゆったりとしたものに変わり、逆に今まで感じなかったリアの硬さが不思議なほど感じるようになりました。

本革のソファーのようなシートとも調和し、高級車ブランドのランチアらしい素晴らしい乗り心地になりました。欲を言えばリア側も純正アブソーバにしたいところですが、まずは、摩耗の進んだピレリを、是非、純正装着のコンチネンタルに換装してみてください。

今回、大変楽しい試みをお手伝いできたこと、大変うれしく思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。






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プジョー

206CCに収まる MITSUBISHI JAPON

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始動不良のご相談があったプジョー206CCは、非常に弱々しくセルスターターが回るのでバッテリーの能力低下を疑いました。

3年経過した純正バッテリーは、テスターの簡易点検でも機能低下を示しましたので、新品に交換。

ところが、バッテリー交換直後にもかかわらず始動に軽快感がないばかりか、数回繰り返しエンジン始動しただけで、セルスターターは動く気配すら無くなってしまったのです。


平成14年式 GH-206CC RFN 5MT 走行距離 85,000km


近年は軽自動車も含めて、10万キロ走行未満でスターターのモーター部の不調はほとんどなく、稀にマグネットスイッチの接点不良があるのみです。交換前提でセルスターターを取り出して確認しました。

インテークマニホールド下に隠れているセルスターター本体の脱着のため、ラジエーターホースのエンジン側を離脱して作業スペースをギリギリ確保します。

↓作業性を考慮して配線を付けたまま取り出すセルスターター
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一般的に高価なセルスターターですが、プジョーのそれは意外なほど安価で、リビルト対応がないのも納得です。国産車の同等品リビルトと変わらない価格なのです。

取り出したセルスターターのボディに浮かぶ冒頭写真のスリーダイヤ。

MITSUBISHI JAPON のステッカー貼付がありました。

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そして補給部品は自国メーカーのValeo。

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故障したセルスターターの整流部は見事に溶損していて、ケース内部は夥しい量の摩耗粉が確認できました。

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