スズキ


スズキ エスクード クラッチ修理(TD54W)

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京都から約300km離れた遠方で、自走不能に陥ったスズキ エスクード。

日曜日の早朝に一報を受け、状況を伺いますと、クラッチペダルが奥に行ったまま戻らないとのことで、クラッチ油圧系トラブルのようです。

幸運にも安全なところに退避できたとのことで、ほっと胸を撫で下ろしました。


平成19年式 CBA-TD54W J20A 5MT 走行距離 195,000km


多額の回送費用のことを考えて、最寄りの工場での修理をお勧めしましたが、「改造車」を理由に入店拒否。お客さまの使用便宜上行った改変は、もちろん保安基準適合を確認したものですが、残念ながら他店では認知されなかったようです。

遠路はるばる、積載車に載せられて僕のところにやってきたエスクードは、2.5インチリフトアップ、ウインチ、シュノーケルを装備した猛々しい外観とは対照的に、オーナー様の落胆の様子を纏っているように見えました。


早速作業に取り掛かります。

TD54Wのクラッチシステムは、輸入車によく見かける方式です。レリーズベアリングとスレーブシリンダが一体構造になっていて、他方式に備わるレリーズレバーがありません。

レリーズベアリングと同軸上にある油圧スレーブシリンダから、クラッチフルードが大量に漏えいしたのが今回の故障の原因です。確認・交換のためにはトランスファ一体型の大きな変速機を離脱しなければいけません。

全長が約150センチほどある変速機は、横にするとその長さが判ります。とても一人の力で支えられる重量ではありませんので、補助具の力を借ります。

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レリーズベアリング一体型シリンダは、ベアリング部が焼き付き、バラバラになっていて大量のフルードが漏れていました。

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クラッチディスクの摩耗もスリットが消えるくらいまで進んでいましたが、綺麗な摩耗でクラッチ操作の丁寧さがうかがえます。

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新しいクラッチはスズキ純正のValeo製でした。

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そして、シリンダにはGMの浮き文字があります。

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シフトレバー部の出っ張りがトランスミッションの脱着の妨げになりますので、エンジンハンガーを設置して、できるだけエンジン前方を持ち上げる工夫をします。長大な変速機をエンジンと合体させるとき、慎重な位置合わせと安全確認が要求される緊張の瞬間です。

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しかし、変速機脱着より難作業は、クラッチフルードの充填でした。

こちらの写真をご覧ください。車両前方から見た油圧経路全景です。

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リザーブタンクからマスターシリンダ、センタートンネルをまたぐ長い配管を経てスレーブシリンダへ通じます。左ハンドルが主体の配管経路のように見えます。

問題と思うのはブリーダプラグ(エア抜きプラグ)の位置です。マスターシリンダとスレーブシリンダの中間に位置しているのです。

いつものようにバキュームで引いてもリザーブタンクからのフルードが無駄に消費されるだけで一向にスレーブシリンダに注入されません。変速機搭載前に、シリンダに幾分かフルードを満たしておくべきでしたが、今となっては後の祭り。

ヒントを得ようとサービスマニュアルに目を凝らしますが、「確実にエア抜き作業を行うこと」との空しい記述があるのみでした。


様々な手法を駆使して長時間かけてフルード充填を終えたエスクードは、今まで感じたことのないスムーズなクラッチフィーリングを得ました。4万キロ走行の中古車として乗り始められたお車でしたが、最初からフルード充填が十分にできていなかった可能性があります。

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取り外したレリーズシリンダの上部には、エア抜きプラグがあればとても都合の良さそうなところに栓がしてありました。



《編集後記》

このような重整備を行う場合、心も体も相応な柔軟性が要求されます。

日常、徒歩や自転車などで運動をしているつもりでも、ほとんどできていないのが股関節の運動です。最近取り組んでいる股関節柔軟法は、手軽で時間もかからず効果てきめん。

最初は半信半疑でしたが、約1ヶ月のプログラムで明らかに柔軟性が上がり、腰回りの無駄なものがすっり取れたのです。





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